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和紙のご紹介《出雲民芸紙》

しおりに折り紙…だけでなく、その下も!

まるで本物の木のような木目、、実はこれも和紙なのです!

こちら全部”出雲民芸紙”

出雲民芸紙は、名前の通り、島根県で昔から続く伝統技法にて一枚一枚手すきで作られている和紙です。

実は半年ほど前、ウィーンで開催された国際平和美術展にて、まさにこの和紙を広めようと活動してらっしゃる作家さんと偶然出会いまして

実際に使ってみたい!ということで送っていただいていたのです。

これまで、いろんな和紙を紹介してきましたが、こちらもとても面白い紙です

いろんな色があって華やかなのはもちろんですが

まずもって推したいのが、一種類の原料で作られるところ。

制作でいつも使っている雲肌麻紙やほとんどの和紙は、主にコウゾ、ミツマタ、ガンピから2〜3種類を調合して作られています

が、出雲民芸紙は、雁皮紙なら雁皮だけ、コウゾはコウゾだけ、と一つの原料からできています

なので、それぞれの原料の生み出す特性や風合いをより強く感じることができるのです

さらに前述した通り、この、木目!!
これは、板干しする過程で自然とできるそう

雁皮紙を水張りしたところ

水張りすると消えちゃうのかなと心配しましたが、大丈夫でした。

少し茶味のある色も相まって、高級杉材のような雰囲気です

なのに触ると雁皮特有のあのツルツルすべすべとした感じ、不思議!

描くのが勿体無いなと思いつつ、さっそくちょっと描いてみています

筆滑りが良く細かい描写も描きやすいです

自然の風合いを生かした作品を作りたい時、特に良いのではないかなと思います

公益財団法人安部榮四郎記念館http://abe-eishirou.jp/

もっと詳しく知りたい方はこちら↑
(人間国宝の和紙職人さんの記念館です、行きたい!)

出雲民芸紙お取り扱いサイト

絵の具を焼く

長いおうち時間、皆さんいかがお過ごしでしょうか

もともとあまり家から出ないインドア派な私もいい加減外に出たくなってきましたが、今は辛抱です、いやはや

さて、前々から実験してみたかった”絵の具焼き”に挑戦してみました

みるみるうちに色が変わって思いの外楽しいです、これは。。

↑元の色  《焼く時間》 短い<<<<<<<<<<<<<<<<長い

一番上から
”天然 群青15番”、 ”天然 緑青15番”、”水干 舶来黄土”です

群青は焼くと少し緑みが増すように感じました。焼いて使う場合はこの”緑み”も考慮したいところです

緑青はなかなか色が変わらない、と思いきや、変わり始めてからが早いのでベストな焼き加減で止めるのが難しいです

黄土を焼くと、代謝のような色になるのには驚きでました、、含まれる鉄分が熱で酸化することによって赤茶っぽくなるのですが、

例えば市販の絵の具を買う時、この代謝や朱土より、もう少し明るかったり暗かったりする色が欲しい…という時は、自分で焼いて作ってしまうのもありですね

《用意するもの》

フライパン、スプーンか木ベラなど混ぜるもの(金属の場合は火傷注意!柄の長いものを使うこと)、絵の具※

※銅、鉄など金属が含まれる”天然”絵の具
(例:緑青、群青、金茶、岩黄土、黄茶、水干黄土など) ×新岩絵の具、合成、G絵の具などは使用しないこと

《注意点!!》

必ず換気しながら焼くこと

マスク、ゴーグル(あったら)をつける

!ついつい気になってしまいますが、、
熱してる最中は 絵の具に顔を近づけない

《焼き方》

1絵の具をフライパンに入れ、火にかける
ガスコンロの場合は弱火、電熱器などを使う場合は中くらいにて
焼きむらができないよう底を返すように混ぜる

2お好みの手前で火から一旦あげる、スプーンでとって冷まして色を確認、焼き足りないようだったらもう一度火にかける

3ちょうど良い具合になるまで2を繰り返す

以上、簡単ですが、絵の具を焼く方法と注意点などまとめてみました、ちょっとでも参考になったら幸いです

春の昼長に-日本画の本のご紹介2-

何かと家の中で過ごす時間が増える日々ですね

とはいえ、家でも楽しいことはできるもの。せっかくなので有意義に使いたいものです

そこで、最近読んだ本の中で、これはオススメしたいと思ったものをいくつかご紹介させていただきたいと思います

実は本の紹介は2度目なので、2と銘打ってみました…!大分ほったらかしていましたね、いやはや

前回の分もよかったらご参考ください(技法書が多めです)

では、早速いってみましょう


色から読み解く日本画
三戸 信惠 (著), 山種美術館(特別協力) 

とにかく色が綺麗。

この価格でこの発色は本当にお買い得です
日本画に限らず絵画の色彩というのは、どうしても印刷での再現はむづかしいものです。画集や図録を見てあれ?こんな色だっけと思うこともしばしば

そんな中、色をテーマにしているだけあって、こちらの書籍は色の再現度が素晴らしいです

天然の群青、緑青、朱、そして胡粉の微妙な濃淡
速水御舟、川端龍子、奥村土牛…と画集や展覧会で作品を見る機会は多くても、一体どんな絵の具を使っているのか?という紹介はなかなかされないものです

更に作品と一緒に添えられているエピソードも、画家のアトリエをひょっと覗き見ているような、ついつい読み進めてしまう面白さがあります

描く人にとっても、貴重な情報の多い一冊ではと思います


へそまがり日本美術
府中市美術館 編・著

こちらもオススメです、へそまがり

タイトルであなどるなかれ、美術館さんが出されているだけあって、学芸員さんの本気を感じる美術書です

とはいえ時に思わず、ふふっと笑いつつ

絵の面白さに改めて気づかされます

完璧なデッサン、精密でひの打ち所のない画面は美しいものですが、心の赴くままに描かれた作品は、そういうものとは違った、なんともいえない魅力があります

いわゆる日本画の有名な絵は一通り何かしらで見たつもりでいたのですが、こちらの本に掲載されているのは見たことないものだらけで、大変刺激になりました

昔の人も今の人も、偉い人もそうでもない人も筆で絵を書いているんだなと思うとちょっと嬉しくなります


黄金比はすべてを美しくするか?
マリオ・リヴィオ  /斉藤隆央 訳 

黄金比、一度は耳にしたことがある方も多いはず

1:1.61803398…という比率です
レオナルドダヴィンチの作品や、ピラミッド、ひまわりの種の並び方まで、自然や人工物の中に隠されている、人が最も美しいと感じる比率、それが黄金比です

構図を考える時、わたしはよくこの黄金比を気にしたりするのですが、結構少数派かもしれません

一見、数学と美術というのは対極にあるようなイメージもありますが、だからこそ作品に組み込むことで生まれる面白さがあると思うのです

ちょっと話が逸れました。黄金比の本は意外と色々出ているのですが、こちらの一冊は、これまで出てきた数々の説を再検証し、更に別の数学の規則との関連性を言及しています

数学は高校止まりだったので、なるほどそんな規則がこの世にあるのかと、新たな発見に会えました

何より著者の方の数学に対する瑞々しい期待が、読んでいてワクワクした気持ちにさせてくれる一冊

数字に興味のある方、是非どうぞ


伝統色で楽しむ日本のくらし
監修 石田結実(上羽絵惣)

胡粉ネイルでも有名な京都の日本画絵の具屋さん
”上羽絵惣”さんが監修されている色名帖

若葉、桜色、朱、蘇芳、浅葱色、白緑、利休鼠などなど昔から使われている色名というのは、歴史が詰まっているようで味わい深いものです

ただ色を並べているだけでなく、誕生した時代や由来、顔料か染料か、更にCMYKの配合も..!!

一色一色ていねいに解説されているので図鑑を読んでいるような面白さがあります

また伝統色にとどまらず、最近上羽絵惣さんが作られた”新しい日本の色”というページが独自で面白いです。いちごみるく。。。

日本画はもちろん、伝統的な色に興味のあるいろんな世代の方にご紹介したい一冊


以上、いかがたっだでしょうか?
今回はちょっと個性的な本も多かったかな〜と思うところなのですが、ちょっとでも気になる一冊がありましたら幸いです!